系図の本棚


 系図の入門書としては、豊田武先生の『家系』がお勧めの概説書です。姓氏の解説が要領よくまとめられ、主要系図も掲載されています。良書ですが、残念なのは入手が難しくなっていることです。

 『家系』の次にお勧めしたいのは、『系図研究の基礎知識』全4巻です。近年の研究を取り込みながら、日本歴史に登場する主要豪族の出自子孫と全国の名族の系図を体系的にまとめています。また、同じ著者がまとめた『古代豪族系図集覧』も役に立ちます。


 日本でもっとも有名な系図集といえば、室町初期(14世紀後半)に京都の公家洞院公定がまとめた『尊卑分脈』全4篇 です。藤原氏、源氏、平氏、橘氏など古代から中世にかけて繁栄した氏族の詳細な系図を見ることができます。

 また、江戸末期に編さんされた『系図纂要』全33冊は『尊卑分脈』を書き継ぐ形でまとめられています。ほかに『群書系図部集』全7冊、『系図綜覧』全2巻にも多くの氏族系図が収められています。


 近年に編さんされたものとしては『日本史総覧』第3巻(中世・武家系図)と第5巻(近世・大名系図)がよくまとめられており、コンパクト版もあります。ほかに『日本史諸家系図人名辞典』には古代から近世大名までの系図407家と系図に登場する主要人物8,800人の人名解説が付けられていて、使いやすい内容になっています。